10年も前に大学を卒業して以来、細々と暮らしている私ですが、実はいまだに不登校が治っていません。いや、もう学生ではないのだから「不登校」という表現はおかしい。しかし、もし明日からまた小学校に通わなければならないとしたら・・・確実に不登校だと思います。そういった意味では20年以上前から、中身は何も変わっていません。
そもそも私にとって学校へ行くということは、とても難しいことでした。
毎朝7時には起床して登校。1時間目、2時間目、3時間目、4時間目、給食、昼休み、5時間目、6時間目、とぎゅうぎゅうのスケジュールをこなしてやっと解放されるのは夕方になってから。それが週に5〜6日連続で続くのだからついていけません。忙しすぎる。そのうえ小学校高学年になれば部活も加わり、中学ではさらに受験勉強もあって、とてもじゃないけど・・・。
もちろん、ほとんどの人はこのスケジュールを難なくこなします。のみならず、「休みの日にやることなくて暇だな〜」などと意味不明の発言すらしています。信じられません。高校生ともなれば、部活に加えてバイトなどを詰め込む人もいます。そして久しぶりの休日には「暇」とか言っています。信じられません。
不登校だった当時から現在に至るまでずっと「学校行かないで家で何してたの？暇じゃないの？」という質問をよくされますが、これも正直よくわかりません。
私には、「暇」という感覚がまったくなかったのです。
週に3日も用事があれば超多忙に感じてしまう。これは大人になった今でもあまり変わっていません。おそらく私は、ある部分でのみ他人よりも敏感なのだと思います。
天気のいい日に自室にこもっている。窓を開ける、心地の良い風が頬を撫でる。差し込む強い日差しを浴びてみる。眩しいというよりもかゆいような感覚に、思わず目を閉じる。ああ、いい天気だなあ、、、と、うとうとしてしまう。
これだけで数時間は経過してしまい、午後の時間はあっという間に終わっていきます。もちろん不登校児には定番の朝寝坊もバッチリなので、起床した時点ですでに昼過ぎ。あとはちょっとのマンガと夕方のワイドショーがあればいい。
これくらいが私にとって、ちょうどいい刺激なのです。なので、大勢の人間がギャーギャーひしめき合っている中に一日中閉じ込められるのは、想像以上に苦痛を伴います。
このような子供にとっては、学校という場所の難易度が高すぎる。不登校になってしまうのは当然といえば当然でしょう。
想像してみて下さい。あの狭い教室の中に、ところ狭しと元気な子供が30人以上。その全員に個性があり主張がある。声もでかい。動きも突発的。そしてそのカオスを無理やり押さえつけようとする教師のエネルギー。・・・これはやばい。
その場にいるだけで、消耗してしまう。毎日通うのはとてもじゃないけど無理。
このような理由から、私は長らく不登校でした。不登校というと、いじめなど何かしらの原因があってのことだと思われがちですが、そうではないパターンもあるということも知っていて欲しいのです。
特に、私の場合は親も先生もとても親身になってくれていました。誰かにいじめられてるのではないか？と常に気にかけてもくれました。
でも、「いじめられてない？嫌いなヤツいる？」と優しく質問をしてくれても、私は答えられません。答えられないのは、知られたくないことがあるわけではありません。本当に、とくに答えることがないので黙り込んでしまうだけなのです。すると大人は勝手に余計な勘ぐりをはじめます。今思えばその様な配慮をありがたく思えますが、実際には「いじめられすらしていない」のが私の現状だったので、こういう質問には困ってしまいました。
こういうタイプの子供は、必ずしも学校へ行けるようになることがゴールではありません。
いじめや家庭環境など、外的な要因のせいで不登校になったわけではなく、本人の気質という内的な要因からくるものなので、これはもう、仕方がありません。何故だかわからないけど、でも、絶対学校へ行くのが無理と悩んでいる子がいたら伝えたい。
「お前には学校も会社勤めも無理だから、さっさとあきらめるんだ！」
と。あきらめて、自分に合う別の道を探した方がいいのです。
これは不登校に対して罪悪感を抱き、キュウゥゥっとなってしまっていた当時の私自身に伝えたいこと。
学校にすら行けないんだから、大人になったらもっと苦労するんだ・・・・死ぬまでツライんだ・・・・。
そう思って暗い日々を過ごす内気な子供だった過去の私自身と、そして今現在同じ問題で悩んいる子供や親にとって、何かヒントになればなあと思っています。
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